今年もサシバを見送ることができました

 

今年も感動で泣けました。

その時が来ると君たちはわかるんだね。

その神秘が計り知れなくて畏敬の思いが湧く。

青い空に雲を背負って、ゆったりと舞いながら高みに昇っていく

その姿をみているだけで胸がいっぱいになる。

たった1人で、または仲間と息を合わせて、遠い旅にでる彼らに

飛べない自分の憧れを乗せるのかもしれない。

 

 

烏帽子岳 1日目 : Willy's Blog (exblog.jp)

初めてタカの渡りを見た昨年は、アカハラダカの長崎、烏帽子岳でも、鹿児島のサシバでも、それなりの数を見ることができて、ビギナーズラックを喜んだ。

なんたって鷹柱をみるのすら初めてだったから本当に感動した。

ただし、アカハラダカは直前の台風でルートが変わったのかということだったが、ここ20年でワースト2位の少数のようだった(いいときは2万羽前後に対し、昨年は3600羽)。それでも50羽の群れが2回みられてそれだけでもすごかった。

サシバもピークではなかったが、それでもトータルで1200羽超を観察できた。

 

 

今年も早くから予約をしたが、この日に当たるかどうかは運次第。9月になってすぐからネットワークを毎日つぶさにチェックしては、「まだみたいだ、よかった」とか「増えてきたか」とかつぶやきながらハラハラドキドキ。

アカハラダカは速報開始まもなくいきなり9月9日に8000羽というのがでて、やばい!と思った。サシバも早いのなら、昨年と同じ日程では間に合わないではないか・・・

ところが。

昨年、カウントのお手伝いをして知り合った副支部長さんと連絡をとっていたが、なんと27日が初認ということでさらにハラハラ。なぜにそんなに遅いのか~~~~。

 

たしかにそれは妙に思っていたところであって、白樺峠で24日に4300というのが出たあと、その先でさっぱりのままだったのだ。現地の方も、みんなそう言ってるんだよね、とおっしゃる。去年は25日に大きな数がでたあとは順調に各地で観察されていたのに。

ちなみにアカハラダカのほうはその後27日に7800羽という2度めのビッグウェーブが来たという、ことしは大当たりのようであった。

 

 

29日土曜日、7時に空港ホテルをでて去年と同じくコムクドリの群れと遊んでから、

7:30予約のレンタカーを乗り出す。これから鹿屋市までいくと一番飛ぶ時間帯に間に合わないので、昨年観察場所がわからず敗退した大塚山に行くことにする。

今年こそちゃんと観察地の展望台にたどりつくと、先着が3名おられたが、お二人は入れ替わりに帰って行かれた。残るお1人と一緒に11時半ごろまで観察。この方は釧路ナンバーだったが、昨年地元に帰ってきたので、とおっしゃっていた。

 

 

昨日金曜に、宮崎の金御岳で400超だったので今日も期待だが、すでに9時半を過ぎた時刻ではちょっと遅かった。それでも11時半までに75羽確認。うち最大は17羽の群れだった。

澄んだ秋空を、気持ちよさげに舞う彼らがほんとうに美しくてまぶしくて愛おしかった。

 

 

一度は真上を低い高度で通ってくれた。上昇気流がないときは、こうして杉のてっぺんで待っていることが多い。

 

 

午後、内之浦を回ったあとは、そのまま大隅半島南回りルートというのに乗って、観光看板の案内で見つけた岸良海岸、ちょっとサブルーティンしてウミガメの上がるという美しい辺塚海岸、最後は昨年いきそびれた雄川の滝にいって、錦江湾にでてお風呂に入ってから最終目的地にいった。

鳥見以外は、それはそれでいろいろみて不思議体験などもあって面白かったので別記事にて。

 

 

翌日いよいよ本番と張り切って6時15分からスタンバっていたが、雲が広がってちょっと心配。6時半すぎに副支部長さんと合流して、おひさしぶりですの挨拶のあと定点へ。去年は7時過ぎには当日初認ができたが、なかなか飛ばない。雲はどんどん厚くなってきた。

空を眺めているとベテランの常連お仲間の方が3名ほど見えて、お話しながら待つも飛ばない。これからよ、という言葉がだんだんと怪しくなってくる。

この時期まだ余裕があるサシバは急ぐ必要はない。

刈り入れの終わった田んぼでバッタがたくさん飛ぶから、コンディションが悪ければたくさんご飯をたべて英気を養って待てばいいのだ。

 

 

そうこうするうちにポツポツ雨が落ちてきて空はすっかり暗くなってきた。

レーダーを見るとなんと薩摩半島に真っ赤な中心のある雨雲がやってきている。

これはダメかも‥と思っているうちに1日雨予報に変わってしまった。

ここまでただの1羽も飛ばず。さすがに副支部長さんも「本日は11時で終了とします」との決定で、4人いた観察隊は解散した。

誠に残念だがこういう日もある。副支部長さんはこんなもんじゃない、ゼロが続いてもひたすらお1人で毎日毎日カウントを続けておられるのだ。

 

悪い日も経験だとおもって小鳥観察に切り替えて、隣にある「吾平山稜」にいってみた。

ここは小伊勢とよばれる、初代天皇の父君と母君の御陵で、日本書紀に登場する古代の陵墓である。宮内省直管轄の、地元の人の誇りだそうだ。

御陵を参拝して戻ってきたら、あーら不思議!神のお守りか、あの黒雲がぱ~~っと上がって青空がのぞいてきた。これはもしや、と一人定点に戻って観察をつづけてみた。

 

 

風もでてきた。私が鳥なら来た!と思うかも。

もう1時近いが、昨日時間切れで近くに降りた個体が飛び立つ可能性がある。

頼む、1羽でも会いたい、と粘っているとこれも神様のご褒美か、ついに5羽が上がったのに気が付いた。彼らはくるくると旋回しながら上昇気流に乗っていく。

ああ、よかった!なんとか今日も会えた。

ここはカウントの大任を感じて時間と場所を詳しくメモしながら全方向見逃すものかと目を凝らす。

その後も1羽ずつだが低いところからあがって全部で9羽をこの日観察できた。

写真にもならない遠さだが、観察できたことと、彼らの動きの情報が少しでも増えたことがとてもうれしかった。宮崎の金御岳でも12羽だったから、観察の成果も間違いなさそうだ。ちなみに翌日月曜、晴れて1000羽ほどだったそうで、動画を送っていただいた。休めたらなあ。。。今日宮崎の金御岳は2700の数字がでていた。

いつか、3000羽が川のように流れていくというさまを見るまでは、可能な限り来ようと思う。

 

気を付けていくんだよ。また来年会おうね。

最後の1羽に手を振って3時過ぎに鹿屋を後にした。