山行一覧覚書(メモ)

久々に北アに行って、バリエーションに熱中していたころを懐かしんだところで、ふとこれまでの主な山行をまとめてみようと思い立った。なのでこれはメモ。 ほぼ毎週のように行く一般ルートの夏山とトレーニングや細かいのは除いて。

写真を貼ろうといろいろ探したが、古いのはどこにいったやら。

 

北海道の百名山斜里岳の山頂にて見事な滝雲をみた

 

本格的に会に所属して始めた登山は今年の6月で16年になる。

百名山は約10年かけて2022年7月に完登。岩は5年ほどやったあと、アイスはここ数年で足を洗い、バリエーションはめっきり減ってしまった。1年に1,2回の沢と雪のみ。

心楽しく幸せな山歩きが大好きだけど、緊張感のあるバリエーションへの未練も断ち切れない。もっと若くから始めていたら、と最初の頃から思っている。

 

おおざっぱな難易度では

季節でいうと冬山(厳冬期登山)→春山(残雪期登山)→夏山(一般道)の順で門戸が広くなるし、危険度・難易度も低くなる。かといって夏山で死なないかというとそうでもない。登山に限らず何をしていても、道を歩いていても、死ぬときは死ぬ。それでも厳冬期の、人間を寄せ付けない厳しさは別格で、それは高所も同様。

 

f:id:peaks100:20240528093735j:image

剱岳北方稜線ルートにて。赤谷山で1泊目のあと2269峰への稜線。このあと赤ハゲ、白ハゲ、大窓、池谷から小窓で2泊目。3日目が核心、小窓の王から池谷ガリーをこなしてやっと剱の山頂に立つ。

 

大きくはバリエーション(昔の呼び名でアルパイン)と一般ルートのハイキングに分かれる。

ハイキングというと、登る行為を伴わない野原を歩くイメージだが、山用語ではバリエーション以外の、明確な登山道をたどって山を登る行為をハイキング、または尾根歩きという。

 

バリエーション(アルパイン)は、ザイルをはじめとする特別な道具を使って、登山道のないところを行くもので、岩登り、沢登り、雪山、アイスクライミングなどがある。それぞれ良さも違うし、向き不向き・好みも分かれるし、やってる人の傾向もある程度偏る。

 

魔の山ダウラギリ

雪山は天候に左右されることが大きいのと何しろ進むのが大変で何倍も時間がかかるので日数が必要であり、金物が多く荷物も重い。滑るし、凍傷・なだれなど特有の危険がある。何しろ半端なく寒い。寒いだけで死ぬ危険が増す。

 

岩ははっきりと向き不向き(上手下手)がある。手足が長く体重が軽ければそれだけで有利。体力筋力も必要だがバランスとセンスが要求される。夏は暑くて大変だし、寒くなると登れない。そうなるとクライミング系の人はアイスクライミングや雪壁登攀に移るか、海辺の暖かい岸壁を登る。ジム通いに精を出す人もいる。ジムは特殊な空間で、仲間内で固まる傾向が強く、見られるので目立つのが好きな人向け。

イスクライミングは、凍った滝(氷瀑)をアイスアックス(バイル)を使って登攀するものである。氷の厚さや雪のあるなしで難易度が変わるが、ほぼ垂直を登攀する。アイゼンもアイス用のモノポイントなど道具も特殊で、この良しあしが結構ものをいう。そしてやはり寒く冷たく、落氷・落下による怪我の確率も高い。

 

沢登りは登攀系と泳ぎ系に大別される。これも雨だと一気に水量が増えて危険度が増す。

泊まりを伴う長いルートだと、適地で焚火をするのが醍醐味で、誠に情緒深く楽しい。釣りなどもする人はする。しかし泥まみれで汚れ、山活動の中では一番臭く汚い。危険生物との遭遇も最も可能性が高いし、事故も多い。ルートファインディング能力もバリエーション中最も必要だ。藪漕ぎはダイキライだけど、これで方角を読めないと遭難。沢登りが一番難しく一番ワイルドで野生に近く、一番奥が深いと私は思う。

 

行程処理の分類ではピストン(単発で山頂を往復する)と縦走(何日もかけて複数の山頂を通って、基本的には登山口と下山口が違う)がある。

速いと賞賛されるが、花や鳥を楽しみながらゆっくり歩くのが、自然を相手に行う行動としてはより良いともいえる。人それぞれ好みと体力に合わせればよいが、遅い人は速い人にすみやかに譲るべきだ。力量やスケジュールは様々だし、絶対的にタイムにこだわるひともいるから。どちらにとっても迷惑で危険につながる。譲られたらお礼を言いましょう。

 

恐ろし気な威容のアンナプルナⅠ峰、BCから。1950年この山における人類初の8000m峰登頂はエルゾーグらフランス隊による。

これらとは別に、高所登山、ロングルート(とにかく長距離を行く)、などもある。

高所登山は雪・岩・氷・クライミングを合わせた総合的な山の技術に加えて高度耐性が大きく影響する。特殊な準備が必要で、それとともにどうしても海外になるので経済的、時間的条件も必要となり、登山を趣味とする人でも経験者は多くない。昔から仕事との両立が難しいことも関門となっている。

ロングルートは長くきつい行程をなるべく短時間で踏破するのが賞賛される。きついので体力のあるマゾ度の高い人が好んで行う。ウルトラ〇〇も同様だ。

 

いずれにしても登山は強い=正義とされる。程度の差はあれど、昔からこれは変わらないのではないかと思う。父親の時代(昭和7年生まれ)は、帆布のキスリングに鍋釜・米・味噌・餅などを食料としてかつぐから50~60㎏は当たり前だったそうだ。それよりはるか以前、マロリーたちがエベレストにチャレンジしたころはダウンすらなく、鋲靴にジャケットで登っていたのだから、人間は総じて弱くなっていると思う。

 

ライミングのみを対象とするフリークライミングは、私は登山とは違うと思っている。トレラン(山岳マラソン)もランニングの部類に入ると思う。

こうしてみるとやっぱり私は雪山が一番好きなんだなと実感する。

そして未踏も多くあることを発見する。

沢登のひとこま。泳ぎの沢は苦手~。沢でいやなのはアブとブヨ!

 

「残雪期」

剱岳北方稜線

剱岳八ツ峰

鹿島槍牛首尾根から黒部横断≪救助のため中退≫

カクネ里から鹿島槍天狗尾根

剱岳源次郎尾根≪悪天により敗退≫

穂高北尾根

槍ヶ岳飛騨沢ルート(複数回)

天狗沢~ジャンダルム~奥穂吊り尾根~前穂高

明神岳東稜~主稜

谷川岳東尾根

谷川岳芝倉沢~西黒尾根

谷川岳中ゴー尾根~天神尾根

阿弥陀岳南稜

鋸岳~甲斐駒ケ岳

横尾谷左股~北穂高岳

杓子岳双子尾根~白馬岳

白馬槍

越後荒沢岳、守門岳

日光白根(複数回)

赤沢山

 

「厳冬期」

西穂高岳西尾根

 

厳冬期のラッセルはマゾ魂を刺激する。こいでもこいでも進まなくて汗だくで消耗する。

「高所」

カンヤツェⅡ峰

アンナプルナBCトレッキング

ラダック シャムトレッキング

※アンナプルナBC4300mで、夕映えのマチャプチャレ

「沢」(複数回多数)

≪関東エリア≫

白毛門沢、東黒沢、西黒沢、ヒツゴー沢、湯檜曽本谷、笹穴沢、小田倉沢、タニ川、

赤谷川本谷、万太郎沢、井戸小屋沢右股、米子沢、西ゼン、苦土川井戸沢、万太郎本谷、小川谷廊下

≪東北・甲信越エリア≫

笹木沢、大蛇尾沢、葛根田川、前川大滝沢、柳沢川右股~左股、大行沢、尿前沢、 桃洞沢、

赤木沢、中津川、鍋倉谷

焚火は沢の醍醐味。火そのものがごちそうだ

「岩」

谷川岳一ノ倉沢烏帽子南稜

谷川岳一ノ倉沢中央カンテ

谷川岳幽ノ沢V字右

谷川岳マチガ沢東南稜

前穂高岳 松高ルート

北岳バットレス(ピラミッドフェースから4尾根継続)

 

「アイス」

尾白川ガンマルンゼ

荒船山・犬殺しの滝

八ヶ岳・ジョウゴ沢

八ヶ岳・ムトウ返し

八ヶ岳・クリスマスルンゼ

笛吹川東沢~西沢

 

日本海から上高地まで縦走中、五竜鹿島槍間の八峰キレット

「縦走」と「ロング」

大雪(旭岳東側・西側)~富良野原始ヶ原(複数回)

下の廊下(複数回)

日本海(栂海新道)~上高地(複数回いずれも中退)

小池新道~高天原(複数回)

立山~五色ケ原

屋久島縦断

北岳仙丈岳

悪沢岳赤石岳

光岳~聖岳

飛越新道~黒部五郎

ブナタテ尾根~雲の平~竹村新道

七倉尾根~赤牛~水晶~竹村新道

白峰三山1周日帰り

秩父七峰もちろん日帰り(複数回)

谷川馬蹄形これも日帰り(複数回)

 

大雪縦走後、釧路湿原の夕焼け

大雪縦走の白眉、三川台。

大雪縦走の核心、オプタテシケの雄姿


やっぱりつまるところ脳内麻薬を求めているんだとおもうな。

 

一番好きな独立峰は鳥海山。一番好きな山域は高天原。一番好きな沢は尿前沢。一番泣けた山頂は百名山幌尻岳。一番困難だった登山は剱岳源次郎尾根敗退後の内蔵助谷。一番好きなルートは・・決められない。